【KAIZEN三四郎ものづくり道場】JITを徹底し、小人化を実現するためのステップ(前編) 〜三四郎とツクル君のKAIZEN対話:なぜ忙しいのに利益が残らないのか?〜

【登場人物】
・KAIZEN三四郎: 現場改善のプロフェッショナル。経営と現場の両方の視点から、分かりやすく課題解決を導く。
・ツクル君: 若手の中堅製造スタッフ。現場のやりくりや日々の忙しさに追われつつも、改善に前向き。

プロローグ:現場は戦場、なのに社長はため息?

ツクル君

三四郎さん、聞いてくださいよ! 最近、うちの現場は受注が
多くて目が回るほど忙しいんです。みんな残業までして必死に
作っているんですよ。それなのに、社長が『売上は上がっても
利益が残らん……』って元気がないんです。一生懸命作ってい
る僕たちとしては、なんだか報われないというか……。

KAIZEN三四郎

なるほどな、ツクル君。現場が汗水垂らして働いているのに
利益が出ないというのは、一番苦しいところだな。でもな、
そこに製造業の構造的な問題が隠れているんだ。 ちょっと
質問だけど、利益を増やすための式は覚えているか?

ツクル君

ええと、
『利益 = 売上 - (固定費 + 変動費)』
ですよね!

KAIZEN三四郎

その通り! だから利益を増やすアプローチは、
1. 売上を増やす
2. コスト(固定費+変動費)を下げる
の二択しかない。
でも、売上を増やすというのはお客様の都合や景気に左右
されるから、どうしても『他力本願』になりがちだ。自分
たちの力だけで100%コントロールするのは難しいだろ?

ツクル君

確かに、来期の受注を自分たちの都合で2倍にする
なんて無理ですね。だから、コントロールできる
『コストを下げる』ことに注力するべきなんですね。

「変動費削減」の限界と、狙うべき「固定費」

ツクル君

コストを下げるとなると、やっぱり材料の
ムダをなくすとか、歩留まりを良くして
『変動費』を下げるのが基本ですか?

KAIZEN三四郎

もちろんそれは大事だ。でもな、変動費をいくら改善しても、
売上の上下(生産量の増減)で総額が大きく変わってしまう
から、『本当に改善効果が出ているのか分かりにくい』とい
う弱点がある。 だからこそ、本当に注力すべきは、毎月確実
にのしかかる『固定費』を下げることなんだ。そして、固定
費の大半を占めているのは何だと思う?

ツクル君

……僕たちの人件費、ですね

KAIZEN三四郎

そうだ。人件費という固定費を下げるためには、現場の
『生産性』を上げるしかない。 でもな、多くの工場がこ
こで『生産性 = 出来高 ÷ 人数』という基準で判断しよ
うとする。これが大いなる罠の始まりなんだ。

ツクル君

えっ!? 『今いる人数で、できるだけ多く作る』の
が生産性を上げることじゃないんですか?

KAIZEN三四郎

そこがJIT(ジャスト・イン・タイム)の思想と真っ向から衝突するところだ。 『出来高 ÷ 人数』を追うと、現場は『今すぐ必要のないものまで、前倒しで多く作って生産性を高く見せよう』としてしまう。でもな、JITの基本は『必要なものを、必要な時に、必要なだけ作る』こと。余計なものを早く作りすぎるのは、ただの『ムダの先取り』だ。余計な材料費(変動費)を早く使い、倉庫を在庫で圧迫し、キャッシュを眠らせるだけで、利益には1円も貢献していない。その上に、他の今必要なものが作れなくなり、残業して作るという本末転倒なことが起こりかねん。

ツクル君

うっ……! 良かれと思ってたくさん作っていたのが、
実は会社を苦しめる原因になっていたなんて…….。

JITの徹底が生み出す「小人化(しょうにんか)」という解決策

KAIZEN三四郎

そう。JITを徹底するということは、『仕事量が減った
ときは、作る量も減らす(余計なものは作らない)』と
いうこと。 でも、作る量を減らしたのに、今までと
同じ人数がラインに張り付いていたらどうなる?

ツクル君

ええと……、作業に手待ち時間ができて、みんな手持ち
無沙汰になっちゃいますね。人件費(固定費)は丸々か
かっているのに!

KAIZEN三四郎

その通り! だからこそ、JITを徹底するためには、『生産量
(仕事量)が減ったら、それに合わせて作業人数も減らす仕
組み』
が絶対にセットで必要になるんだ。これを『小人化
(しょうにんか)』
と呼ぶ。

ツクル君

『省人化(しょうじんか)』とは違うんですか?

KAIZEN三四郎

『省人化』は機械化などで恒久的に人を減らすことだ。対して『小人化』は、仕事の増減に合わせて、ラインの人数を『1人でも、3人でも、5人でも、最適な人数にいつでも変動できる状態』にしておくことだ。これができれば、仕事が減ったときには最少人数で回して、余った人員を別の『今本当に人手が足りない工程』や『付加価値の高い業務』へシフトできる。結果として工場全体のムダがなくなり、固定費がグッと下がって、景気の変動に負けない安定経営ができるようになるんだ。

小人化を実現するための「3つの具体的ステップ」

ツクル君

仕事量に合わせて人数をカメレオンみたいに変える……。
めちゃくちゃ理想的ですけど、実際にやるとなったら、
何から手を付ければいいんですか?

KAIZEN三四郎

JITを徹底して小人化を実現するためには、感覚や気合で
はなく、論理的な手順を踏む必要がある。大きく分けて、
次の3つのステップが必要だ。

【小人化実現への3大ステップ】
1. 「標準作業」の確立と、工程ごとの「負荷(仕事量)」のリアルタイムな見える化
2. どの作業でも柔軟にこなせる「多能工化」の育成
3. 「今の仕事量」に対して「最適な人員配置」を瞬時に判断できる仕組みづくり

ツクル君

うわあ、どれも大事そうですけど、難しそうですね……。
特にステップ1の『今の現場の負荷をリアルタイムに見える
化する』なんて、毎日バタバタと変わる現場でどうやって数
字に落とし込めばいいんですか? 紙の日報やExcelに手入力
していたら、確認する頃にはもう明日になっちゃいますよ!

【参考】「空白の時間」をなくすという発想(アパホテルの事例)

この「今あるリソースを使い切る」という考え方は、ホテル業界の取り組みにも通じるものがあります。

例えば、アパホテルでは、客室が空くと同時に清掃スタッフのスマートフォンへ通知が届く独自のITシステムを活用しています。客室の「空室時間(空白時間)」を極限まで短縮し、日中はテレワークなどの「デイユース」、夜間は「宿泊」として1室を1日に2度貸し出すことで、稼働率100%超を実現しているそうです。

ホテルにとって重要なのは、単純に「客室を増やすこと」ではありません。「今ある客室を、いかに空けずに使い切るか」です。

これは、製造業における工場の運用にもまったく同じことが言えます。
工場に新しい設備を導入することも選択肢の一つですが、その前に考えるべきは「今ある設備や人員を、本当に使い切れているだろうか?」という視点です。
• 段取り替えで止まっている時間
• 材料待ち・前工程待ちで止まっている時間
• 作業指示を待っている時間

こうした現場に潜む「見えない空白時間」をITやシステムで捉え、一つひとつ減らしていく。アパホテルの事例が示しているのは、まさに「新たな設備を増やす前に、今ある資産をいかにムダなく使い切るか」という発想の転換です。

製造業においても、利益を生み出す第一歩は、大規模な設備投資ではなく「今ある設備と人を、どれだけムダなく使い切れるか」を見直すことではないでしょうか。

※参考資料 「アパホテル、1日に2度貸し稼働率100%超 「空白の時間」ITで短縮」
2026年1月23 日、日本経済新聞電子版

KAIZEN三四郎

いいところに気づいたな、ツクル君! まさにその通りで、手書きやExcelでの管理では、JITに必要な『今の事実』に追いつかんないんだ。 そこで活躍するのが、僕たちが提案している生産管理システム『TED』なんだ。TEDを使うと、この難しい小人化のステップを驚くほどスムーズに進めることができるのだ。

ツクル君

TEDを使ってどうやって3つのステップをクリア
していくんですか? 早く教えてください!

KAIZEN三四郎

ははは、ツクル君、やる気満々だな。 よし、それじゃあ
具体的な『TEDを活用した小人化の実践ステップ』につ
いては、次回の後編でじっくり説明することにしよう!

次回予告

次回の後編では、今回ご紹介した「小人化への3ステップ」を、生産管理システム「TED」を使ってどのように現場に落とし込み、実践していくのかを分かりやすく解説します。 紙やExcelからの脱却、そして現場の負荷状況に合わせた最適な人員配置のやり方など、具体的な使用例を交えてご紹介しますので、どうぞお楽しみに!

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