新シリーズ「KAIZEN三四郎が見抜く製造業の真因」第1章 生産準備編 第2回 「準備完了」のはずなのに、なぜ現場から質問が出るのか?

「KAIZEN三四郎が見抜く製造業の真因」
~ツクル君と探る「利益を生み出す工場」のつくり方~
第1章 生産準備編
第2回 「準備完了」のはずなのに、なぜ現場から質問が出るのか?
― 現場が途中で止まらないための六つの着手条件 ―

ツクル君

三四郎さん、うちも準備はしています。材料はパレットに
載せ、工具も揃え、図面も配っています。それ以上、何を
すればいいんですか?

KAIZEN三四郎

その状態で機械を動かした後、現場から質問は出ないかい?

ツクル君

出ますね。『この図面はどっちが最新ですか』『外注は
どこへ出しますか』『初品はどこまで測りますか』
『仕上げ代はいくつ残しますか』……。

KAIZEN三四郎

それなら、段取りはできていても、仕事の準備は
まだ終わっていないのかもしれない。

1.「最初の工程を始められる」と「完成まで流せる」は違う

段取りは、材料、工具、治具などを揃え、目の前の工程を始められる状態にする仕事です。これは製造に欠かせません。

一方、生産準備は、その仕事が着手後に不要な中断をせず、次工程や検査まで流れるように、必要な条件と判断を先に揃える仕事です。段取りは、生産準備の一部です。

例えば、材料を切削した後に熱処理外注へ出し、戻ってから仕上げ加工と検査をする仕事を考えます。最初の加工に必要な材料と工具だけが揃っていても、次の事項が決まっていなければ、途中で止まります。
・熱処理へ出す前の加工寸法や仕上げ代
・外注先と出荷日、戻り予定日
・熱処理後に確認する硬度や変形
・仕上げ加工で使う治具や加工条件
・最終検査の測定箇所と合否基準

良い生産準備は、「今すぐ機械を動かせるか」だけでなく、「完成までの途中に、未決のまま残っていることはないか」を見ます。

2.生産準備で確認する六つのこと

製品や生産形態によって項目は変わりますが、現場が止まらないためには、少なくとも次の六つの観点が必要です。

1 何を作るのか
品名、数量、納期、最新図面、改訂内容、特記事項が一致しているか。口頭変更が図面や指示へ反映されているか。

2 何を使うのか
材料、購入品、支給品、工具、治具、測定具、プログラムが、必要な時点で使えるか。数量と置き場所まで分かるか。

3 どの順番で、どこを通すのか
工程順、使用設備、担当、外注工程、工程間の受け渡しが決まっているか。先にやるべき工程と後でよい工程が明確か。

4 どう作るのか
品質に影響する加工条件、基準面、つかみ方、仕上げ代、注意点が分かるか。過去の実績や失敗例を参照できるか。

5 どう確認するのか
測定箇所、測定具、測定のタイミング、合否基準、初品確認の要否が決まっているか。

6 未決事項をどう扱うのか
何が未決なのか、誰が判断するのか、いつまでに決めるのか、未決のまま条件付きで着手してよいのかが明確か。

3.「準備完了」を人によって変えない

ツクル君

でも、『準備できています』と言う人によって、意味が
違うんですよね。材料が来たら準備完了と言う人もいれ
ば、図面まで確認してからと言う人もいます。

KAIZEN三四郎

そこが大事なところだ。準備完了の基準が人によって
違えば、現場へ渡った後で不足が見つかる。

大切なのは、関係者全員が「どのような状態になれば着手してよいか」を同じ基準で理解することです。担当者の感覚に頼らず、生産準備チェックシートなどで着手条件を明確にし、全員で確認できるようにすることが、現場の不要な停止を防ぎます。

4.現場の裁量を奪わない

生産準備を整えることは、現場に考えさせないことではありません。改善、より良い加工方法、異常への対応など、現場でなければできない判断は残ります。

先に減らすべきなのは、最新版図面を探す、足りない部品を確認する、誰が決めるのか分からない事項を抱える、といった「作る前に片付けられたはずの迷い」です。

現場に「問題」ではなく「仕事」を渡すとは、現場の知恵を奪うことではありません。着手前の迷いを減らし、その知恵を加工・品質・改善に生かせる状態をつくることです。

そのため、生産準備には現場も参加します。例えば、大型製品をまとめて納品する場合、完成品の置き場や運搬方法まで事前に考えるには、現場の知恵が欠かせません。過去のトラブルや想定リスクを全員で共有することも、生産性と技能の向上につながります。

5.三四郎の現場チェック

次のうち、実際に起きているものはありませんか。
□ 「準備完了」で現場へ渡した後に、作業を止める確認事項が出る。
□ 製造指示を出した後で、材料・部品の不足が判明する。
□ 初品を作ってから、測定方法や合否基準を決めている。
□ 外注へ出してから、戻り予定日や次工程とのつながりを確認する。
□ 未決事項は分かっていても、判断者と期限が決まっていない。
一つでも当てはまる場合、「何をもって準備完了とするか」が部門や担当者ごとに異なっている可能性があります。

6.三四郎のひとこと

準備完了とは、材料が置いてあることでも、図面が配られたことでもない。
現場が『次はどうする』『誰に聞く』で止まらず、次工程まで仕事を流せる状態になっていること。それが、生産準備ができたということなんだ。

7.次回予告

ツクル君

準備完了の基準を揃えても、加工条件や異常の
見極めは、結局いつも班長に聞いています。

KAIZEN三四郎

それなら、仕事を進めるための判断材料が、まだ
班長の頭の中に残っているのかもしれないね。

ツクル君

でも、ベテランの経験を全部、
標準書にするなんて無理ですよ。

KAIZEN三四郎

その通り。では、何を残し、どこから先をベテラン
に相談するのか。次回は、ベテランの判断を現場で
使える形にする方法を考えよう。

8.次回公開時に「生産準備チェックシート」を無料配布

第3回の公開にあわせて、第1章「生産準備編」の内容を現場で実践するための「生産準備チェックシート」を無料で配布します。

図面、材料・部品、工程、加工条件、検査、未決事項について、「何をもって準備完了とするか」を確認できるExcel形式のフォーマットです。

詳細とお申込み方法は、第3回の記事でご案内します。

第1回記事はこちら↓

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする