【KAIZEN三四郎ものづくり道場】なぜ在庫は減らないのか? 情報不足の先にある真因は製造のリードタイムだった

「在庫や進捗は管理しているはずなのに、なぜか仕掛品が増え続ける」
「現場にモノが溢れているのに、必要なものがすぐに見つからない」
「在庫を減らしたいのに、減らすと納期遅れが怖い」

中小製造業の現場では、このような悩みがよく起こります。

在庫表を作る。進捗表を更新する。発注残を確認する。工程ごとの状況を共有する。こうした取り組みはもちろん重要です。しかし、情報を集めるだけでは在庫は減りません。

なぜなら、在庫が増える本当の原因は、単なる「情報不足」ではないからです。 多くの場合、その根本には製造リードタイムの長さがあります。

今回は、KAIZEN三四郎とツクルくんの対話を通じて、在庫が減らない本当の理由と、在庫削減に向けてまず見るべきポイントを整理します。

情報を集めても在庫は減らない

ツクル君

三四郎さん、困りました。在庫や進捗の情報を共有する
シートを作っているのですが、情報量が多すぎて大変
なんです。部品表、発注残、工程進捗、在庫表……毎日
更新しているだけで、一日が終わってしまいそうです。

KAIZEN三四郎

そうじゃろうな。正直に言うと、今の状態のまま
情報共有だけを増やしても、根本解決にはならんぞ。

ツクル君

えっ、そうなんですか? 情報を細かく集めて見える化
すれば、在庫って減るんじゃないんですか?

KAIZEN三四郎

情報を集めることは大事じゃ。しかし、それは原因を見つけるための『手段』にすぎん。本当に見るべきなのは、なぜ現場が在庫を持とうとするのか、という現場の心理と仕組みの歪みじゃ。

在庫が増える本当の理由は「納期への不安」

KAIZEN三四郎

ツクルくん。
そもそも、なぜ現場は在庫を持とうとすると思う?

ツクル君

うーん、やっぱり欠品したら困るからですかね。

KAIZEN三四郎

なぜ欠品すると困る?

ツクル君

それは……納期に間に合わなくなって、
お客様に迷惑がかかるからです!

KAIZEN三四郎

その通りじゃ。在庫の問題の裏には、必ずと言ってよいほど『納 期への不安』がある。現場では、よくこんな言葉が飛び交っておらんか?」
・「また同じ注文が来るかもしれないから、今のうちに作っておこう」
・「機械が空いているから、先に流しておこう」
・「材料が揃っているから、まとめて作ってしまおう」

ツクル君

あ、まさにうちの工場でも毎日言ってます! 先回りして
段取りを良くしている良い判断だと思っていました……。

KAIZEN三四郎

一見すると、効率的な判断に見えるよな。しかし、その結果として仕掛品が増え、置き場が埋まり、探し物が増え、かえって現場の流れが悪くなっていくんじゃ。つまり、『お客様が待ってくれる期間(希望納期)』よりも『社内で作るのに必要な期間(製造リードタイム)』の方が長いことが本質的な問題なんじゃよ。
在庫は単なる管理ミスではない。長い製造リードタイムに対する、現場の『防衛反応』なんじゃ。

製造リードタイムが長くなる「加工していない時間」の正体

ツクル君

防衛反応、ですか。でも、製品を作るスピード(加工時間)
自体は、現場のベテランも若手もみんな頑張って限界まで
早くやっていると思うんです。これ以上リードタイムを短く
するなんてできるんでしょうか?

KAIZEN三四郎

ツクルくん、そこが大きな勘違いじゃ。製造リードタイムが長くなる原因は、作業時間そのものだけではない。むしろ、現場で『加工していない時間』が大きな問題になっているんじゃよ。

ツクル君

加工していない時間?

KAIZEN三四郎

そうじゃ。例えば、自社の現場を思い浮かべてみぃ。こんな状態になっておらんか?」
・工程間の待ち時間がやたらと長い
・仕掛品が多くて、どれを先にやるべきか優先順位が分からない
・材料や部品の到着状況が、現場から見えない
・現場でモノを探す時間が増えている
・特定の工程や担当者にだけ負荷が集中している
・急ぎの仕事が割り込み、計画が何度も崩れる

ツクル君

うっ……耳が痛いです。確かに、機械を動かしている時間よりも、次の工程に運ぶのを待っていたり、部品を探したり、予定
が変わって並べ替えたりしている時間の方が長い気がします。

KAIZEN三四郎

そうじゃろ。待つ、探す、運ぶ、並べ替える、確認する、やり直す。こうした『付加価値を生まない時間』が積み重なることで、製造リードタイムはどんどん伸びてしまうんじゃ。

余剰在庫がさらに現場を混乱させる「在庫地獄の悪循環」

ツクル君

リードタイムが長いから不安になって在庫を増やす。
でも、その在庫のせいで『探す』『並べ替える』と
いう無駄な時間が増えて、さらにリードタイムが
伸びる……これって、もしかして……。

KAIZEN三四郎

気がついたようじゃな。多くの工場では、次のような
恐ろしい悪循環が起きているんじゃ。

【工場が陥る「在庫地獄」の悪循環】
1. 納期が不安になる
2. 安心したいから余分に作る
3. 仕掛品や在庫が現場に溢れる
4. 置き場が足りなくなり、探し物や運搬が増える
5. どれが急ぎか分からなくなり、工程が混雑する
6. 製造リードタイムがさらに伸びる
7. もっと納期が不安になる
8. さらに余分に作る……

ツクル君

まさに地獄ですね……。納期遅れを防ぐために良かれと
思って在庫を増やしたのに、結果として自分たちで現場
を混乱させて、さらに納期を守りにくくしていたなんて。

KAIZEN三四郎

そうじゃ。だからこそ、在庫削減の正しい順番は『在庫を
減らす』ではなく『リードタイムを短くする』。現場が
在庫を持たなくても、安心して納期を守れる状態を仕組み
で作ってあげるのが先決なんじゃよ。

理想の「見える化」とは何か?

ツクル君

リードタイムを短くするためには、やっぱり現場の『見える化』が必要ですよね。僕、もっと細かい進捗表や、すべての部品の位置を記録するチェックシートを作ろうと思います!

KAIZEN三四郎

これこれ、ツクルくん。それではまた『情報を集める仕事』
が増えて元に戻ってしまうぞ。見える化は必要じゃが、目的
を間違えてはいけない。

ツクル君

目的、ですか?

KAIZEN三四郎

理想の見える化とは、現場で『あるはずのものがない』と探し回ることではない。『本来あるべき状態から外れているもの(異常)』が、誰でもすぐに分かる状態のことじゃ。

ツクル君

異常がすぐに分かる状態?

KAIZEN三四郎

そうじゃ。例えば、以下のような状態がパッと見て分かればどうじゃ?
・まだ着手すべきでない仕掛品が現場に流れている
・予定より長く同じ場所に滞留している作業がある
・特定の工程に仕事が偏って、後ろの工程がストップしている
・材料待ちの案件が、誰にも気づかれず放置されている

ツクル君

なるほど!それが分かれば、『あそこが詰まっているから
手助けに行こう』とか『この仕掛品はまだ作っちゃダメだ』
って、現場の誰もがすぐに判断できますね。

KAIZEN三四郎

その通り。ベテランの勘に頼らなくても、新人でも、工場長が
現場を歩き回らなくても状況が把握できる。これこそが、在庫
削減につながる本当の見える化じゃ。

手書き日報やExcel管理だけでは限界がある

ツクル君

でも三四郎さん、そんなリアルタイムな異常をキャッチする
のって、めちゃくちゃ難しくないですか? 現場に『異常が
あったらすぐExcelに入力して!』って頼んでも、作業中の
忙しい時には絶対に忘れてしまいますよ。

KAIZEN三四郎

ガハハ!現場に過度な負担をかけるやり方は絶対に長続きせん。毎日、現場が手書きで日報を書き、管理者がそれをExcelに転記して、夕方にやっと集計しているようでは、情報を集めるだけで全員の体力が奪われてしまうからのぅ。

ツクル君

そうなんです。入力が遅れたり、記録が抜けたりして、
結局Excelの数字が合わなくて確認に追われる……
なんて日常茶飯事です。

KAIZEN三四郎

『情報を集めるための仕事』で忙しくなって、肝心の『改善活動』に時間を使えなければ本末転倒じゃ。見える化を進めるには、現場に過度な負担をかけず、正確な情報が“自然に”集まる
仕組みが必要不可欠なんじゃよ。

工数把握とリードタイム短縮を仕組みで支える「TED」

現場に過度な入力負担をかけず、工数・進捗・仕掛状況を継続的に把握できる仕組み。これらを実現し、中小製造業のリードタイム短縮を強力に支援するのが、生産管理システム「TED」です。

(1) 手書き日報やExcel転記の負担を削減

現場の作業者がそれぞれ保有する端末で作業の「開始」「終了」を軽くタッチするだけ。現場に負担をかけることなく、正確な工数と進捗データがリアルタイムに蓄積されます。管理者は面倒なExcelの転記・集計作業から解放され、本来の目的である改善検討に時間を使えるようになります。

(2) ボトルネックや滞留を見つけやすくする

工程ごとの進捗や実績が自動で蓄積されるため、予定より時間がかかっている工程や、仕掛品が滞留している場所が画面上で一目瞭然になります。「どこで止まっているのか」「どの作業に予定以上の時間がかかっているのか」が可視化されるため、勘や経験だけに頼らない、的確な改善活動が可能になります。

(3) 今作るべきものの優先順位を明確にする

在庫が増える大きな原因である「不安だから先に作る」という判断をなくします。受注状況・工程進捗・作業予定を連動して確認できるため、現場に対して「今、本当に作るべきものの優先順位」をクリアに示すことができます。必要以上の先行生産を抑え、現場の混雑や仕掛品の増加を防ぎやすくなります。

KAIZEN三四郎のまとめ:在庫を見る前に、リードタイムを見る

多くの工場では、在庫を減らすことが改善だと考えられています。しかし、本当の問題は在庫そのものではありません。在庫を生み出している「製造リードタイム」です。そして、溜まった余剰在庫は、そのリードタイムをさらに悪化させます。

見るべきなのは、次の点です。
・どの工程に時間がかかっているのか
・どこで仕掛品が滞留しているのか
・なぜ先行生産が必要になっているのか
・どこに納期不安の原因があるのか

正しい工数を把握し、今必要なものだけを流す。その結果として、仕掛品が減り、探し物が減り、現場の流れが良くなります。

在庫削減は、在庫を数えることから始まるのではありません。製造リードタイムを見える化し、短縮することから始まります。

自社の在庫・仕掛品・リードタイムの課題を確認しませんか?

「在庫が多い理由が分からない」「仕掛品が現場に溜まっている」「納期遅れを防ぐために、つい先行生産してしまう」「日報やExcel集計に時間がかかっている」

このような課題がある場合は、まず自社の生産管理の状態を整理することが重要です。

自社の在庫・仕掛品・リードタイムの課題を確認する

工数把握・進捗管理・リードタイム短縮を相談する

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