【KAIZEN三四郎ものづくり道場・後編】製造業の属人化を防ぐ第一歩は「見える化」

ベテランの知見を会社の共有資産に変える方法

はじめに

前編では、中小製造業における属人化リスクについて整理しました。


「この工程は、○○さんしか分からない」
「不良対応はベテランの経験頼み」
「段取り替えは、熟練者がいないと止まる」

こうした状態は、日々の業務が回っている間は大きな問題に見えません。しかし、人手不足が深刻化し、ベテラン人材の高齢化が進むこれからの時代には、特定の人に依存した工場運営は大きな経営リスクになります。

では、属人化を防ぐには、何から始めればよいのでしょうか。第一歩は、現場の「見える化」です。

見える化とは、掲示物を増やすことではない

ツクル君

三四郎さん、前回の話を聞いて、うちの工場にも属人化
している仕事が多いと感じました。
でも、何から始めればよいのでしょうか。

KAIZEN三四郎

最初に取り組むべきことは、現場の見える化です。

ツクル君

見える化というと、ホワイトボードや紙の管理表を
作るイメージがあります。

KAIZEN三四郎

それも方法の一つです。ただし、本質は掲示物を増やすこと
ではありません。必要な人が、必要なタイミングで、同じ
情報を確認できる状態にすることです。

例えば、次のような情報がすぐに分かる状態です。
• どの受注が、どの工程まで進んでいるか
• どの作業が遅れているか
• どこに負荷が集中しているか
• 誰が、どの作業を担当しているか
• どの工程で不良や手戻りが発生しているか
• 納期に影響する遅れがどこにあるか

現場に聞きに行かなければ分からない状態は、情報が人に依存している状態です。もちろん現場確認は重要ですが、進捗、負荷、遅れ、実績が見えていなければ、管理者の対応は常に後追いになります。

見える化すべき情報は「進捗」「実績」「負荷」「異常」

属人化を防ぐために、何でも記録すればよいわけではありません。重要なのは、現場の判断に直結する情報を見える化することです。

問題が起きない工場を目指すことは大切です。しかし現実には、遅れや異常は必ず発生します。重要なのは、早く見つけ、早く対応し、次の改善につなげることです。

TEDで見える化を日常業務に組み込む

ツクル君

見える化の必要性は分かりました。
ただ、日々の業務の中で続けるのは大変そうです。

KAIZEN三四郎

そこが重要です。見える化は、現場に負担をかけすぎると
続きません。必要なのは、日々の作業の流れに沿って、
自然に情報が蓄積される仕組みです。

生産管理システムTEDでは、受注・製番・工程ごとの進捗や、現場の作業実績を日々の業務の流れに沿って蓄積し、管理者と現場が同じ情報を見ながら判断できる状態を目指します。

TEDによる見える化の基本的な流れは、次のように整理できます。
1. 受注・製番ごとに工程計画を登録する
2. 現場で作業開始、完了、実績情報を入力する
3. 管理者が工程進捗、遅れ、負荷の偏りを確認する
4. 管理者と現場が同じ情報を見ながら、優先順位や応援の必要性を判断する
5. 蓄積された実績データをもとに、遅延要因、作業時間、負荷配分を振り返る

この流れが定着すると、「あの人に聞かないと分からない」状態から、「情報を見れば状況が分かる」状態へ近づきます。

TEDが目指すのは、職人技の置き換えではない

TEDは、職人技を置き換えるためのシステムではありません。熟練者の判断や現場の知見を、会社全体で活用できる情報に変えるための仕組みです。

これまではベテランだけが感覚的に分かっていた「この工程が詰まりそうだ」「この順番で流した方がよい」「この作業には時間がかかる」といった判断があります。こうした情報を実績として蓄積すれば、管理者だけでなく、現場全体で状況を共有しやすくなります。

属人化対策の目的は、ベテランの価値を下げることではありません。むしろ、ベテランが持つ知見を会社の財産として残し、若手や他工程でも活用できるようにすることです。

人に依存する工場から、仕組みで回る工場へ

これからの中小製造業では、「人を増やせば解決する」という発想だけでは限界があります。採用が難しく、教育にも時間がかかる時代には、少ない人数でも現場を回せる仕組みが必要です。

人に依存する工場では、判断・連絡・対応が特定の人に集中します。一方、仕組みで回る工場では、受注、工程、実績、負荷、遅れの情報が共有され、誰もが同じ状況を見て判断できます。

属人化をなくすことは、現場の力を弱めることではありません。現場に蓄積された知見を、会社の資産として残すことです。

『第38回 中小企業優秀新技術・新製品賞』優良賞を受賞した生産管理システムTED Ver.3.0は、中小製造業の現場に合わせた見える化と仕組み化を支援します。属人化から脱却し、少ない人数でも回る工場をつくるために、まずはTEDの機能や活用イメージをご確認ください。

後編のまとめ:見える化は、属人化対策の入口である

属人化を防ぐ第一歩は、現場の状況を見える化することです。工程進捗、作業実績、負荷状況、遅れ・異常。これらを会社全体で共有できるようにすれば、判断が一部の人に集中する状態を減らせます。

重要なのは、見える化を一時的な活動で終わらせないことです。日々の業務の中で情報が蓄積され、その情報をもとに現場が判断できる仕組みにして初めて、属人化対策は継続します。

前編はこちら

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