【KAIZEN三四郎ものづくり道場 新連載】 「人は、増やすな。」中小製造業が生き残るための“人手不足”脱出論(第3回):「ベテランの勘」をシステムへ。誰でも回せる“最強の現場”の作り方「属人化」という呪縛を解け

「ベテラン頼み」は、美徳ではなくリスクだ
ツクル君三四郎さん、前回「誰が来ても回る仕組み」が必要だと
言われましたが……正直、職人の世界でそんなことが
可能なんですか?
「この道30年の勘」は、そう簡単にマニュアル化でき
ない気がして。



ふむ。多くの経営者がそう言って逃げる。
だがなツクル、その「勘」をブラックボックス化した
ままにすることが、どれほど会社を脆弱にしているか
考えたことがあるか?



脆弱……ですか?



そうだ。特定の人間しか知らない、特定の人間しか
できない業務がある状態。これを「属人化」と呼ぶが、
これは経営における最大の不確実性だ。
そのベテランが明日、病気で倒れたらどうする?



……工場が止まります。



だろう。それはもはや技術の継承ではなく、
会社が個人に「人質に取られている」のと同じだ。
「スキル」と「仕組み」を切り分けろ



勘違いするな。職人の高度な技術そのものを
否定しているわけではない。
問題は、「情報の管理」や「段取りの判断」
まで属人化していることだ。



どういうことでしょう?



例えば、
・どの仕事を、どの順番でやるか(工程管理)
・この製品の過去のトラブル事例は何か(品質管理)
・材料の在庫はあとどれくらいあるか(在庫管理)
これらは「熟練の技」ではなく、単なる「情報」だ。
情報なら、誰でも見られるように「標準化」できる
はずだろう。



確かに。ヤマさんの頭の中にしかない
「予定表」は、別に技術ではないですね。



その通りだ。
現場の仕事を「個人のスキルが必要な部分」と
「仕組みで解決できる部分」に切り分けろ。
そして、後者を徹底的にデジタルへ移行するんだ。


属人化の壁を壊す「3つのステップ」



具体的には、この順番で進める。
1.可視化(見える化): 紙の伝票やホワイトボードを捨て、
リアルタイムで進捗がわかる状態にする。
2.標準化(ルール化): 「人によってやり方が違う」をなくす。判断基準を数値化し、データとして蓄積する。
3.システム化(自動化): 蓄積したデータをもとに、最適な
計画をシステムが導き出す。


「属人化した現場」と「仕組み化された現場」の Before / After
精神論や個人の頑張りへの依存をやめ、「仕組み」を取り入れた現場はどう変わるのか。進捗の把握からトラブル対応まで、属人化の壁を壊した先にある「誰もが即戦力になれる未来」を可視化しました。


ITは、ベテランの知恵を「会社の資産」にする道具



なるほど……。
でも、ベテランの人たちは「自分の仕事が
奪われる」と反発しませんか?



そこは伝え方だ。「あなたの仕事を奪う」のではない。
「あなたの貴重な知恵を、会社の宝として残したい」と
言うんだ。
ベテランを、単純な作業や予定の調整から解放して、
もっと付加価値の高い仕事や後進の指導に専念してもらう
ためのIT化だと理解させる必要がある。



「若手の武器」にする、という
前回の話にもつながりますね。



その通り。今の若者は、根拠のない「気合」にはついて
こないが、合理的な「データ」には納得する。
データを一元管理し、現場の判断を支える生産管理
システムは、単なる効率化ツールではない。
ベテランの経験と若手の機動力をつなぐ「共通言語」
になるんだ。
精神論を捨て、一歩踏み出せ



三四郎さん。僕、やってみます。
まずは「ヤマさんの頭の中」にある情報を、
少しずつシステムに落とし込んでいくところ
から始めてみます。



ふむ。ようやく目が覚めたようだな。人手不足を嘆く暇があったら、現場の「情報の流れ」を整理しろ。 「人が足りないからできない」のではない。「人がいなくても回る仕組みを作らないから、人が来ない」のだということを忘れるな。



はい! これが、ウチの工場が生き残る唯一の道ですね。
編集後記(第3回)
全3回にわたり、「人手不足」をテーマに掘り下げてきました。
あらためて振り返ると、この問題は単なる採用難ではなく、
中小製造業が長年抱えてきた構造的な課題の表れであることが見えてきます。
求められているのは、
人に頼る経営から、仕組みに支えられた経営への転換です。
それは、現場の否定ではなく、
現場を未来につなぐための前向きな再設計でもあります。
人手不足が「危機」として顕在化する前に、
自社の現場は、誰が来ても回る状態になっているのか。
この連載が、その問いを考えるきっかけになれば幸いです。
属人化を“資産化”へ。
ベテランの知恵を、会社の未来を支えるデータへ。
その第一歩を、私たちプロフェクトと一緒に踏み出しませんか。
私たちは、システムを売っているのではありません。
工場の“未来の設計図”を描いています。
記事で述べた「属人化の壁」を壊す第一歩は、バラバラになった情報を一つの場所に集めることから始まります。 プロフェクトが提供する総合生産管理システム「TED」は、まさに現場の「共通言語」となる仕組みです。
受注から手配、進捗、在庫、さらには不良管理やスキル管理に至るまで。工場のあらゆる情報がこのシステムに集約され、「画面を見れば、誰でも今の工場の状態が正確にわかる」環境を実現します。








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