プロフェクト(株)メルマガ 「DXナビゲーション」バックナンバー:第40号「今のやり方をそのままシステム化してくれ」――その要望がDXを殺す

「現場のキーマンが賛同してくれた!さあ、システム導入だ!」
前回(第39号)のメルマガでお伝えした通り、社長の覚悟が伝わり、反対していた工場長が「そこまで言うなら、一緒にやってみよう」と前を向いてくれた。 最大の壁を越えたと、多くの経営者がここで安堵します。
しかし、本当の試練はここから始まります。 協力的になった現場から、必ずと言っていいほどこんな要望が出てくるからです。
「今のうちのやり方を、そのまま画面で再現してほしい」
「この例外処理も、あのイレギュラー対応も、全部システムに組み込んでくれ」
一見、現場に寄り添った正当な意見に聞こえます。 しかし、この要望をすべて鵜呑みにすることが、システム導入を「高コストな失敗」へと導く最大の要因なのです。

ベテランの「今のやり方」は、システムには向いていない
なぜ「現状の完全再現」が失敗を招くのでしょうか。 それは、長年現場を支えてきたベテランの仕事の仕方が、「人間だからこそできる神業の連続」だからです。
・「この得意先はいつも急に仕様変更するから、部材を少し多めに手配しておく」
・「この機械は今調子が悪いから、あえて違う工程に回す」
・「Aさんが休みの日は、Bさんの配置を変えてカバーする」
これらはすべて、ベテランの「頭の中」で瞬時に行われている高度な例外処理です。これをすべてシステムに判断させようとするとどうなるか。
機能は雪だるま式に膨れ上がり、カスタマイズ費用は天井知らず。出来上がったシステムは入力項目だらけで、マニュアルは分厚くなり、結局「誰も使いこなせない巨大なゴミ」が完成してしまいます。

DXとは「現状のコピー」ではなく「標準化」である
システム導入の目的は、属人的な神業をシステムにコピーすることではありません。 「8割の定型業務をシステムに任せ、人は2割のイレギュラー(例外処理)に集中すること」です。

今のやり方をそのままシステム化するのではなく、システムを入れるこの機会に「業務のやり方そのもの」を見直す必要があります。
「この特急対応、そもそもルール化できませんか?」
「この複雑な工程、思い切ってシンプルにできませんか?」
現場のキーマンとともに、業務の「標準」と「例外」を仕分けする。 システムには「標準」だけを乗せ、複雑な「例外」はこれまで通りベテランの経験と判断力でカバーしてもらう。 この割り切りが、システムをスムーズに稼働させる絶対条件です。
「TED」が過度なカスタマイズを推奨しない理由
私たちが提供している生産管理システム「TED」は、中小製造業の「標準的なベストプラクティス」をベースに設計されています。

もちろん、企業ごとの強みを活かすための柔軟性は持たせていますが、何でもかんでもカスタマイズで解決することは推奨していません。なぜなら、それがお客様の首を絞めることを、私たちは現場での経験から痛いほど知っているからです。
システムに合わせて業務を標準化することで、初めて「データ」が綺麗に蓄積され、将来的なAI活用や生産性向上の道が開けます。
最後に:DXに踏み出すには
「今のやり方を変えたくない」という現場の気持ちは痛いほどわかります。 しかし、過去のやり方をデジタルに置き換えるだけの「IT化」では、会社は生き残れません。 業務そのものをシンプルにし、会社の筋肉を鍛え直す「DX」へ踏み出す必要があります。
現場からの「あれもこれもシステム化してほしい」という声に対し、 「それは本当にシステムでやるべきことか?」と問いかけ、業務整理を主導する。 これもまた、経営者の重要な決断です。
もし「自社の業務のどこを標準化し、どこをTEDに任せるべきか」迷われることがあれば、いつでもご相談ください。私たちが客観的な視点で、最適な切り分けをアドバイスいたします。

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