メルマガ 「DXナビゲーション」バックナンバー:第39号 なぜ「現場思い」の優しい社長ほど、システム導入に失敗するのか?

「現場が嫌がるなら、今は様子を見よう」
その一見、物分かりの良い“優しさ”が、実は組織を分断し、
導入を失敗に追い込んでいます。
ある中小製造業の社長から、こんな切実な相談を受けました。
「生産管理システムを入れたいんです。でも、現場が猛反対で……」
理由を聞くと、こうでした。
・ベテランが「今のやり方で十分だ」と言う
・入力が面倒だと不満が出る
・“監視される”と感じている
・若手も様子見で動かない
社長は言いました。
「やっぱり、うちにはまだ早いんですかね…」
しかし私はこう答えました。
「いえ。むしろ、今が始めどきです。」
反対する人ほど、会社を支えてきた人
その会社で一番強く反対していたのは、20年以上現場を仕切ってきた工場長でした。
段取りも納期調整も、頭の中。
トラブル対応も、勘と経験。
いわば“歩く生産管理システム”。
だからこそ、こう思っていたのです。
「システムに任せたら、自分の価値がなくなる」
反対の正体は、怠慢でも保守性でもありません。“存在価値の不安”でした。
社長がやった、たった一つのこと
その社長は、方針を変えました。
まず工場長を呼び、こう言ったのです。
「あなたのやり方を否定するために導入するんじゃない。
あなたのノウハウを会社の資産にしたいんだ。」
そして、
・初期設計は工場長中心で行う
・運用ルールは現場主導で決める
・若手教育に工場長を巻き込む
つまり、“排除”ではなく“昇格”させたのです。
結果:反対していた人が、いま一番の推進役
最初は入力漏れもありました。
二重管理も起きました。
混乱もありました。
社長は言いました。
「反対していた人が、いま一番の推進役です。」
導入を失敗させる本当の原因
システムの機能不足ではありません。
操作性の悪さでもありません。
最大の失敗要因は―― 社長の「曖昧さ」です。
「現場が嫌がるなら様子を見よう」
「運用は現場に任せる」
この一見、物分かりの良い姿勢が、実は組織を分断し、
導入を失敗に追い込むのです 。
「データ」がない会社に、未来の選択肢はありません
今、世の中ではAIやDXが叫ばれています。
しかし、現場のデータがデジタル化されていない会社にとって、
それらは「絵に描いた餅」でしかありません。
AIは魔法の杖ではありません。
過去の正しい「実績データ」を学習して初めて、
精度の高い納期回答や在庫予測が可能になります。
もし、すべてのノウハウが「工場長の頭の中」にしかないとしたら、
AIが学ぶべき教師データすら存在しないということです。
今後、さらに人が減り、熟練工が引退する時代がやってきます。
「うちは長年の勘で回っているから大丈夫」そう豪語する会社ほど、
その「勘」を持つ人がいなくなった瞬間、判断が止まるリスクが一気に顕在化します。
守るためのDX
生産管理システムは、現場を縛り、監視するための「管理の道具」ではありません。
人に依存しすぎた危うい構造から、会社と社員を守るための「知識の器」です。
我々が提供している「TED」も、まさにそこを起点に設計しています 。
現場の負担を減らすのは当然として、職人が積み上げてきた「暗黙知」を「形式知」に変え、会社の資産として残すこと。それが現場を守ることに直結するからです。
最後に:社長の覚悟は
反対勢力は敵ではありません。
誰よりも会社の未来を案じ、自分の仕事に誇りを持っている
「最も責任感の強い人」です。
その人のプライドを「システムの入力作業」で削るのか。
それとも、システムを武器に「後進の育成」という
新たなステージへ昇格させるのか 。
それが、導入成功の、そして会社の生き残りの分岐点となります。
社長、その覚悟はできていますか?
もし、現場と共に歩む「守りのDX」に一歩踏み出したいとお考えなら、まずは弊社の「TED」がどのように現場の知識を資産に変えるのか、その仕組みをのぞいてみてください。

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