メルマガ 「DX ナビゲーション」バックナンバー:第34号【安心在庫のワナ:後編】在庫“ダイエット”実践編! キャッシュフローを即改善する「三カ条」と『見える化』戦略

本記事は2回連載の【後編】です。メールマガジンの内容をHP記事用に一部加筆しています。
[前編のおさらい] 前編では、一見資産に見える在庫が、実はキャッシュフローを蝕む『八番目のムダ』であり、その根本原因が現場の『ムラ・ムダ・ムリ』にあることを特定しました 。 後編では、そのムダを断ち切り、筋肉質な経営体質へ生まれ変わるための具体的戦略、「在庫ダイエット三カ条」を徹底解説します。
在庫ダイエット三カ条:現場から変える「具体的処方箋」
「在庫を減らせ!」という号令だけでは、現場は動きません。必要なのは、精神論ではなく「在庫を持たなくても回る仕組み」です。「安心在庫(メタボ)」から「信頼生産(筋肉質)」へ変わるための、3つのステップを実行しましょう 。
一の条:リードタイムの劇的な短縮(段取り改革)
在庫が増える最大の理由は、「作るのに時間がかかる(リードタイムが長い)」からです。時間がかかるから、欠品を恐れて余分に在庫を持ちたくなります。これを解消するのが「段取り時間の短縮」です。
・SMED(内段取りの「外段取り化」): 機械を止めて行う作業(内段取り)と、機械が動いている間にできる準備(外段取り)を明確に分けます。徹底的に「外段取り」へ移行することで、機械停止時間を極小化します。
・小ロット生産への転換: 段取り時間が「一桁(10分未満)」になれば、頻繁な段取り替えも苦になりません。これにより、大ロットでまとめて作る必要がなくなり、こまめな「小ロット生産」が可能になります。
✅【ここが変わる!】 急な注文が入っても、「在庫」から出すのではなく、「すぐに作って」対応できるようになります。「念のための在庫」が不要になるのです 。
二の条:生産の徹底的な平準化
「今日は大忙し、明日は暇」という生産の波(ムラ)が、在庫を生みます。忙しい時に備えて、暇な時に作り溜めをしてしまうからです。
・後工程引き取り(プル型生産): 前工程が勝手に作るのではなく、市場(後工程)が使った分だけを補充する仕組みに変えます。
・平準化による安定供給: 日々の生産量と種類を平均化することで、ピーク時に合わせた過剰な設備や人員、そして在庫を持つ必要がなくなります。「作りすぎのムダ」を物理的にブロックするのです。
三の条:定位置・定量・見える化の徹底
「探す時間」と「数える手間」をゼロにします。
・3S(整理・整頓・清掃)の再定義: 単に綺麗にするのではなく、「異常がひと目でわかる状態」にします 。
・物理的な制限(区画線): 「ここから溢れたら異常」とわかるよう、床にテープを貼るなどして置き場を限定します。「これ以上は物理的に置けない」環境を作ることで、現場の意識を「たくさんある安心」から「管理された適量」へと強制的にシフトさせます。

在庫を減らす=純粋な現金を掘り起こす!
なぜ、ここまでして在庫を減らす必要があるのでしょうか? それは、在庫ダイエットが最も効率の良い「資金調達」だからです。
在庫は「動かぬ現金」です 。もし、倉庫の在庫を100万円分減らすことができれば、それは純粋な100万円の現金が、倉庫からあなたの手元に戻ってくるのと同じこと 。 売上を上げて100万円の現金を残すには、多大な労力とコストがかかりますが、在庫削減は「やめる」だけで資金繰りを即時改善できる最強のカイゼンなのです。
在庫ダイエットの最大のメリットは、キャッシュフローの即時改善です。
しかし、「人力」には限界がある…成功の鍵は『システムによる見える化』
ここまで「在庫ダイエット」の手法をお伝えしましたが、これを継続するには高いハードルがあります。 それは、「リアルタイムの正確な情報」を常に把握し続けなければならない、という点です。
手書き・Excelの限界: 「台帳ではあるはずなのに、現場に行くとない」「入力が遅れて、最新の数がわからない」。こうした情報のズレが、担当者を不安にさせ、再び「過剰在庫」という麻薬に手を出させてしまいます。
そこで、生産管理システム「TED」という次の一手
後編では、現場の不安を取り除き、キャッシュフローを劇的に改善するための具体的な戦略をお伝えしました。
・実践・三カ条: 「リードタイム短縮(段取り改革)」「生産の平準化(プル型生産)」「定位置・定量化(物理的制限)」を実行し、在庫を持たなくても回る現場を作ります 。
・最大のメリット: 在庫削減は単なるコストダウンではありません。眠っていた現金を呼び戻す、最も効率の良い「資金調達」です 。
・継続の鍵(DX): 人力管理の限界を超え、リバウンドを防ぐためには、生産管理システム(TED)による「正確なリアルタイム情報の見える化」が不可欠です 。
人間の「不安」や「勘」に頼る管理から脱却するために開発されたのが、総合生産管理システム「TED」です 。 TEDは、在庫のリアルタイム管理から生産計画の平準化、リードタイム短縮のサポートまで、貴社の在庫ダイエットを強力にサポートします。
「安心在庫のワナ」を断ち切り、倉庫の奥に眠る“見えない現金”を掘り起こしませんか? TEDは、あなたの工場の筋肉質な体質改善(DX)を伴走します。現状の在庫管理や工程管理にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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