DX推進のモデルケース!「DXセレクション2026」応募様式が事前公表 – 2024選定事例にヒントを学ぶ

「DXセレクション」とは

「DXセレクション」とは、デジタルガバナンス・コードに沿った取組を通じてDXで成果を残している、中堅・中小企業等のモデルケースとなるような優良事例を選定するものです。
優良事例の選定・公表を通じて、地域内や業種内での横展開を図り、中堅・中小企業等におけるDX推進及び各地域での取組の活性化につなげていくことを目的として2022年より開始した取組であり、これまで延べ83者を選定しております。
「DXセレクション2026」応募様式を事前に公表、応募は12月1日から
2025年11月4日、経済産業省及び情報処理推進機構(IPA)は、「DXセレクション2026」の選定に向け、応募様式を事前に公表しました 。中堅・中小企業等がDXで成果をあげるためのモデルケースを選定する本制度は、12月1日(月曜日)から12月22日(月曜日)の期間で募集が行われます 。
応募対象企業
日本全国の中堅・中小企業等
応募要件
DX認定事業者、DX認定未取得事業者によって、以下の通り応募要件が異なります。DX認定制度については関連リンクをご参照ください。

募集期間
2025年12月1日(月曜日)から12月22日(月曜日) 18時00分
【成功事例に学ぶ】DXを成功に導く4つの鍵
「DXセレクション2024」で『優良事例』に選定された、プロフェクト参画企業の株式会社広島メタルワークの取り組みは、中堅・中小企業におけるDX推進のモデルケースとして大変参考になります。
同社(精密板金加工・ステンレス加工・アルミ加工業、広島県広島市)の事例から、DXを成功に導くための重要なポイントを学びましょう 。
1.危機感と強い意識:「DX or Die」の精神
• 強い危機感の共有: 機械の高性能化により「誰でも同じようなものづくりができる」時代において、「デジタルを活用しなければ生き残れない」という強い危機感を経営層が持ち、「DX or Die」の危機感を共有し、全社一丸での改革に踏み出しました。
• 勝負所の明確化: 機会が高度化し、誰でも同じようなものが作れるようになると、QCD(品質・コスト・納期)の管理力が競争優位の鍵となると明確に認識しました。

2.経営トップのリーダーシップと文化改革

• 社長自らのリーダーシップ: 社長が強いリーダーシップを発揮し、DX推進の方向性を明確化しました 。
• 全社的な文化の育成: イノベーション・チャレンジ精神を重視する企業文化を全社で育成することに努めました 。
• 意識改革の粘り強い訴え: 社員からの抵抗に対して、DXの必要性、意義、そして会社の存続危機を粘り強く訴え、スキル向上のサポートを継続しました 。
3.「暗黙知の形式知化」を実現する現場主導のデジタル化
• 生産管理システムの導入: 生産管理システム「TED」を導入し、仕事の見える化・データ化を推進しました 。
• 長年の課題解決: これにより、長年の課題であった「暗黙知の形式知化」(ベテラン社員の持つノウハウをデータ化し、誰もが活用できる形にすること)が進められました 。

4.具体的な成果と組織への影響

• 生産性の向上: TED導入前の2017年と導入後の2021年を比較して、人時売上高(一人当たり時間あたりの売上高)が29.2%増加という業績改善を達成しました 。
• 品質の改善: 同時期における不具合率は97%と驚きの削減率で、品質面で非常に大きな成果を上げました 。
• 組織文化の進化: チーム協力とコラボレーションの意識が育まれ、オープンなコミュニケーションが実現するなど、組織文化にも良い変化をもたらしました 。
広島メタルワーク 前田啓太郎社長の声
【DXへの取組み時を振り返って】
中小製造業のDXの第一歩は生産管理システムの活用にありと考えます。弊社の生産管理の履歴は、「手書きでの指示書」→「Accessによる自作ソフト」→「大手板金企業のA商品」→「同企業のB商品」→「連携協業しているプロフェクト(株)のTED」となります。
かつてはごく限られた台数の端末しかなく端末の操作に列ができるなど非常に非効率でしたが、現在は50台の端末が工場で稼働しています。1人1台の端末導入で、全員がリアルタイムに正確な進捗データを取得、手元で図面、情報の共有などの操作が非常に簡単にできるようになり大きな効果を上げています。

【DXを進めたことによる具体的な変化】
・各従業員が自分専用の端末で図面の細部まで確認できるため、ミスが激減しました。
・過去に不良が発生した工程をアラート表示して注意喚起する仕組みによって、不良率が大幅に減りました。
・全てリアルタイムに対応でき、ムダがなくなりました。1日5分のムダがなくなるだけで、年間で2.5日分の労働時間が削減できました。
・採用にも大きなプラス効果をもたらしました。若手社員が増え、20〜30代の従業員が半数を超えました。
この事例は、単なるツール導入ではなく、強い危機感を原動力に「経営×現場×文化改革」を一体で進めたことが、DX成功の鍵であることを示しています。




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