【KAIZEN三四郎ものづくり道場】失敗しない生産管理システムの選び方　　―中小製造業が陥る7つの落とし穴とその回避法―

生産管理システムが社運を左右する

KAIZEN三四郎: うむ。私たちが営業でお客様の元へ行くと、せっかく数千万円、場合によっては億近い高額な費用をかけて導入したのに、「システムが悪い」「使いにくい」と言って、システムが半ば眠ったままになっているケースをよく目にする 。

ツクル君: それはもったいないですね ！なぜそんなことが起きるんでしょう？

KAIZEN三四郎: システムを導入しさえすれば、すべて解決すると軽く考えているケースが多いからだろうな 。生産管理システムは、製造現場の課題を何でも解決する”魔法の杖”ではない 。正しいシステムを選び、正しい使い方をしなければ、効果は出ないんじゃ 。

ツクル君: なるほど…。じゃあ、失敗しないためのポイントを教えてください！今、市場には100を越えるシステムがあるそうですし 。

生産管理システムを選ぶ上で中小製造業が陥る7つの落とし穴とその回避法

🎯【落とし穴①】目的あいまい！高額なシステムが“無用の長物”になる

対策：導入目的と解決したい課題を明確にし、QCD最適化のゴールを描く。

ツクル君：三四郎さん、うちの会社も「DXの一環で生産管理システムを入れよう」と言ってるんですが、何から始めたらいいか分かりません…。

KAIZEN三四郎：まず最初の落とし穴は、「目的があいまいなまま導入してしまう」ことじゃ。
生産管理システムの最終目的は、Q（品質）・C（コスト）・D（納期）を最適化して競争力を高めること。
「なぜ導入するのか」「どんな課題を解決したいのか」を明確にせねばならん。

よくある課題は──
・情報の一元化ができていない
・急な受注変更で現場が混乱
・原価が把握できない
・在庫が合わない（不足・過剰・欠品）
・同じ不良が繰り返される

ツクル君：なるほど、導入はゴールじゃなくて、“理想のものづくり”へのスタートですね。

🏭【落とし穴②】自社の業種・業態に合わず、“使えない機能”が増えていく

対策：自社の「業種×生産特性」にフィットするシステムを選定する。

KAIZEN三四郎：板金、機械加工、プレスなど、製造業といっても特徴はさまざまじゃ。
汎用的なシステムを導入しても、業種特性に合わなければ“使えない機能”が増えてしまう。

ツクル君：確かに…。うちは多品種少量生産で、短納期の注文も多いです。

KAIZEN三四郎：その通りじゃ。受注形態（見込み・受注）や加工形態（組立型・加工型）を考慮し、自社の「業種×生産特性」にフィットするシステムを選ぶことが肝心じゃ。

⚖️【落とし穴③】部分最適のシステムを選び、情報連携が分断される

対策：受注から出荷までを一気通貫で管理できる“全体最適型”を選ぶ。

ツクル君：「生産管理システム」と名前がついていても、内容はまちまちですよね？

KAIZEN三四郎：そうじゃ。中には受発注や在庫管理だけにとどまる“部分最適型”も多い。
生産管理の本質は、受注〜製造〜出荷までの全体最適化じゃ。
部分機能に依存すると、後からオプション追加でコストが倍増することもある。
最初から原価・品質・在庫・工程・不良・メンテナンスまでシームレスに管理できるオールインワン型を選ぶのが理想じゃ。

✅【落とし穴④】QCD管理を軽視し、品質問題を後追いで処理してしまう

対策：「自工程完結」を支援する品質・不良対策機能を重視する。

ツクル君：「自工程完結」って、トヨタ生産方式の考え方ですよね？

KAIZEN三四郎：その通りじゃ。各工程が“自分の工程で不良を出さない”意識を持ち、後工程に迷惑をかけない。
この考えを支援するのが良いシステムの条件じゃ。
不良履歴を記録・分析し、「二度と同じ不良を起こさない」仕組みを持つシステムを選べば、品質向上とコスト削減の両立が可能になる。

☁️【落とし穴⑤】クラウド or オンプレ選びを“なんとなく”で決めてしまう

対策：中小企業はクラウドの利点（低コスト・災害対策・運用性）を重視。

KAIZEN三四郎：システム形態は「クラウド型」と「オンプレミス型」に大別できる。
中小企業なら、クラウド型のメリットが大きい。
・自社サーバー不要で初期費用を抑えられる
・災害時もデータが守られ、BCP（事業継続）に強い
・社外・自宅からもアクセス可能
・IT担当者不要で運用負担を軽減

ツクル君：DX時代に合った“スピード導入”を狙うなら、クラウドが良さそうですね。

📱【落とし穴⑥】ライセンス制限で「1人1台」が実現できず、紙に戻る

対策：全社員がリアルタイムで情報共有できる環境を確保する。

KAIZEN三四郎：端末を増やすたびにライセンス費が上がるシステムでは、現場のデジタル化が進まん。
結局、紙や口頭確認が残り、効果は半減してしまう。

ツクル君：現場でひとりひとりがリアルタイムにデータを見られないのは致命的ですね。

KAIZEN三四郎：そうじゃ。
“1人1台”で情報が即座に共有できることが、生産効率を飛躍的に高めるカギになるんじゃ。

🤝【落とし穴⑦】導入後のサポート体制を軽視してしまう

対策：導入後も継続的に伴走してくれるベンダーを選ぶ。

KAIZEN三四郎：最後の落とし穴は、導入後にサポートが受けられず、現場で困っても放置されてしまうケースじゃ。
生産管理システムは、運用を通じて育てていくもの。
トラブル時の対応や改善支援など、伴走型のサポート体制が不可欠じゃ。

ツクル君：導入前に、対応時間や内容をしっかり確認します！

KAIZEN三四郎：それが正解じゃ。
7つの落とし穴、しっかり理解できたな。この失敗パターンを避け、自社に最適なシステムを選定できるかどうか、これがDX成功の分かれ道となる。

ツクル君：はい！特に「全体最適」と「現場の1人1台利用」が重要だと分かりました。

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