【2025年最新版】利益は“忙しさ”からではなく“管理”から生まれる

はじめに

　「朝から晩までバタバタと動き回っているのに、どうも会社の利益が伸びない…」「これだけ機械も従業員も稼働していれば利益は出ているはずなのだが…」

　そんな悩みを抱えていませんか？多くの製造現場では、「とにかく忙しいこと」が美徳とされがちです。しかし、本当に利益を生み出すのは、ただ漠然と忙しいことではありません。「忙しいのに儲からない」と感じたとき、それは“現場の頑張り”だけで経営が成り立たないことのサインです。

　では、中小製造業の限られた人材と設備で利益を出すためには、どうすれば良いのでしょうか。その答えは、現場の生産管理にあります。「利益は”忙しさ”からではなく”管理”から生まれる」のです。生産管理によって、QCDの管理の精度を上げ、生産の全体最適と見える化を図ることが必要不可欠です。生産管理システムは、単なるITツールではありません。それは、現場のムダを見える化し、儲かる仕組みを築くための「経営の羅針盤」なのです。

　生産管理システムと聞くと、「また新しいツールが増えるのか」「使いこなせるのか」といった不安を感じるかもしれません。しかし、これは決して現場の負担を増やすものではなく、むしろ日々の業務を劇的に改善し、最終的には皆さんの利益に直結するツールだと考えてください。

現場で感じる「儲からない忙しさ」の正体

　具体的に、皆さんの現場ではこんなことが起こっていませんか？

「とりあえず急ぎ！」の連続で計画が崩壊

　朝礼で立てた今日の生産計画が、午前中にはもう変更。「この部品を先にやってくれ」「緊急の注文が入ったから順番を変えてくれ」。そんな電話や指示が午前中だけで何本も入ってきます。結果として、その場しのぎの対応に追われて、結局、何が優先なのか分からなくなります。現場は、” 段取り替え”だけで半日が終わることもあります。せっかく作った計画も、これでは絵に描いた餅ですよね。

どこにあるのか分からない”あの部品”

　いざ製品を作ろうと思ったら、「あれ？この部品、どこに置いたっけ？」「在庫は残ってるはずなのに見当たらない…」。不良品や余分な在庫が、倉庫の片隅に眠っているなんてことも。部品を探すだけで何分、何十分とムダな時間を費やしていませんか？現場でのこうした探す時間は積もれば山です。人もモノも情報もバラバラに動いているため、誰かが確認しないと、現場全体の状況は分かりません。

材料が足りず、工程が止まる

　「今日から加工に入るはずの部品、材料が入っていない！」「え？発注してなかったの？」　材料在庫の管理が紙やExcel ベースで行われている現場では、こうした材料不足による作業停止が起こります。機械が止まっている時間は、そのまま利益を生まない時間です。

無理して間に合わせた結果が、赤字だった

　「何とか今日中に出荷したい」「夜間シフトと、協力工場にお願いして・・・よし、間に合った！」　納期には間に合いました。現場は達成感に包まれます。ところが後から計算してみると、”残業代＋外注費”で完全に赤字。現場は頑張っています。けれども、どこにコストがかかっているか見えていないから、儲かっているつもりになっていただけだったのです。

納期遅れや不良品発生で、お客様からの信頼も危うい

　「この納期でお願いします！」と言われて引き受けたはいいものの、結局遅れてお客様からクレームが。不良品も出てしまい、作り直しでダブルパンチ。お客様からの信頼を失うだけでなく、追加のコストも発生してしまいます。

働いても利益が出ないのは、現場のせいではない

　現場は一生懸命に仕事をしています。しかし、それだけでは利益は出ません。なぜなら、忙しさは「成果」ではなく「現象」に過ぎないからです。上に書いたことはすべて、生産管理がうまく機能していないことのサインと考えられます。目の前の仕事に追われて、もっと効率的に、もっと計画的に進めるための「仕組み」が足りていないということです。その「仕組み」こそが、生産管理システムなのです。

生産管理システムは頼れる「相棒」

　「でも、システムなんて導入したら、もっと業務が複雑になるんじゃないの？」 「結局、使いこなせないで終わるんじゃないか？」　こんな不安を感じる従業員がいることと思います。でも、生産管理システムは従業員の日々の業務をスムーズにするための、頼れる「相棒」のような存在なのです。生産管理システムを導入することで、以下のような変化が期待できます。

リアルタイムな「見える化」で、次の一手が明確に

　今、どの製品が、どこまで進んでいるのか。どの部品が、いくつ、どこにあるのか。不良品はどれくらい出ているのか、その原因は何なのか。システムでパッと確認できるようになります。データに基づいた判断ができるので、「急ぎ！」の連続から脱却し、計画的な生産が可能になります。

ムダな作業が激減、効率アップで残業時間も短縮

　部品の在庫状況が正確に把握できれば、探す手間も発注のミスも減ります。生産工程の進捗も明確になるので、手待ち時間や余分な作業が減り、効率的に作業を進められます。結果的に、無理な残業を減らすことにもつながります。

品質向上と納期遵守で、お客様の笑顔が増える

　システムで生産計画や品質管理を一元化することで、不良品の発生を抑え、安定した品質の製品を、約束した納期通りに提供できるようになります。お客様からの信頼が高まれば、次の仕事にもつながりやすくなりますよ。

「経験と勘」からの脱却、ベテランのノウハウを共有財産に

　今までベテランの職人さんの「経験と勘」に頼っていた部分も、システムにデータを蓄積することで、会社全体のノウハウとして共有できるようになります。新しい人が入ってきても、スムーズに業務を覚えやすくなるでしょう。

管理から利益が生まれるとは？

　生産管理システムを使えば、
・今、何がどこであるのか、また止まっているのか
・どの作業にどれだけ時間がかかっているのか
・材料は何が足りていないのか
・この仕事はやればやるほど赤字か、黒字か　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　こうした現場の実情が数字で、グラフで、リアルタイムで見えるようになります。現場の頑張りをムダにしないためには、こうした“管理の目”が必要です。そしてそれを支えるのが、生産管理システムなのです。

　このように、「管理から利益が生まれる」とは、現場が本来やるべき作業に集中できるように整えること、そしてムダな動き・止まり・探し・段取りをなくすことを意味しています。

生産管理システムの導入はゴールではなくスタートライン

　もちろん、生産管理システムを導入すれば、すぐにすべてが解決するわけではありません。導入して終わりではなく、それをどう使いこなすか、どう業務に落とし込んでいくかが重要です。

　しかし、今のまま「忙しいのに儲からない」状況を続けるのは、現場で働く皆さんにとっても、会社にとっても決して良いことではありません。

　生産管理システムは、皆さんの「忙しさ」を解消し、「儲かる」会社にするための強力な一歩になります。ぜひ、一度「うちの会社にはどんなシステムが合うんだろう？」「導入したら、具体的にどんなメリットがあるんだろう？」と考えてみてください。

　そのためには、まずは現状の課題とニーズを徹底的に洗い出してください。システムの導入は、現状の課題を解決し、業務を改善するためのものです。システム担当者任せにするのではなく、現場の従業員が抱える具体的な問題を明確にすることが最初の、そして最も重要なステップです。

「困りごと」を具体的に言語化する

　「なんとなく忙しい」ではなく、「A工程で部品待ちが毎日2時間発生している」「特定部品の在庫が頻繁に切れる」「製造指示書の手書きでミスが多い」など、具体的な課題を洗い出しましょう。

「こうなったら嬉しい」を共有する

　「リアルタイムで進捗が見たい」「不良をゼロにしたい」「資材の棚卸しを楽にしたい」など、システムに期待する機能や効果を具体的にイメージして伝えましょう。

部署間の連携状況を把握する

　生産だけでなく、営業、購買、品質管理など、関連部署との情報共有で困っている点も洗い出すことで、システム連携の重要性が見えてきます。

まとめ

　生産管理システムの導入は、現場の未来を変える大きな一歩です。「また新しいツールが増えて対応が大変」と後ろ向きに考えるのではなく、「自分たちの仕事がどう便利に変わるのか」「どうすればより良くなるのか」という視点を持つことが、導入成功の鍵となります。システムを「使わされるもの」ではなく、「使いこなすもの」として捉え、積極的に関わっていくことで、皆さんの働き方は劇的に改善され、会社の利益にも大きく貢献できるはずです。

　皆さんの頑張りが、正しく利益につながるよう、生産管理システムの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。