メルマガ「DXナビゲーション」バックナンバー:第21号 中小製造業の取得120者余り、DX認定制度とは?メリット取得のポイント(2/2)

DX認定制度とは?
前号でご説明しましたように、DX認定制度は、デジタル技術による社会変革に対して経営者に求められる事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に対応し、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度です。Webサイト等の公表媒体をもって「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態(DX-Ready)」であることが確認できた事業者を認定します(他の事業者との比較は行いません)。認定事業者は「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」とされ、自社をアピールしたり、公的な支援措置を受けることができます。

通年の申請が可能、有効期間は2年間で更新の必要あり
申請は、1年を通していつでも行うことができます。申請から認定取得までの期間について、審査期間(標準処理期間:60営業日)を踏まえた日程感となります。なお、本制度の認定の有効期間は2年となります。認定の更新を受けるためには、認定後2年を経過する日の60日前までに、認定更新申請書を提出する必要があります。
申請手順
DX認定制度の審査事務はIPAが担当しています。申請手順は以下の通りです。
1.まずは、申請の準備や手順をまとめた「DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」を確認しましょう。その中で書かれているDX認定制度の申請書の項目は次の通りです。
(1)企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性の決定
(2)企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策 (戦略)の決定
(2)① 戦略を効果的に進めるための体制の提示
(2)② 最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示
(3) 戦略の達成状況に係る指標の決定
(4) 実務執行総括責任者(経営者)による効果的な戦略の推進等を図るために必
要な情報発信
(5) 実務執行総括責任者(経営者)が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握
(6) サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施
2.申請書類「DX認定制度 申請チェックシート」「DX認定制度 認定申請書」をダウンロードします。下の(4)に記入例がありますから参考にしてください。
(1)申請チェックシートは、申請書を補足するものとして、より詳細な情報をご記入する必要があります。よって、記入の順番としては、申請チェックシートを先に記入後、その要約を申請書へ記入することになります。
(2)「DX認定制度 認定申請書」、「DX認定制度 申請チェックシート」では、各設問において自社のDX関連の取り組みを公表しているかが問われます。公表していない場合には、自社ホームぺ―ンで公表するためのページを作成する必要があります。
(3)申請書の書き方については、すでに認定されている企業が提出したファイルの閲覧が可能なため、他社が具体的にどのような取り組みを行なっているかについて、参考にすると良いでしょう。
・DX認定制度 認定事業者の一覧
(4)申請書類、記入例
・DX認定制度 認定申請書(様式第16 第40条関係 認定申請書)(Word:34 KB)
・(参考)DX認定制度 新規申請 認定申請書記入例(PDF:1.5 MB)
・申請チェックシート(新規・更新共通)(Excel:62 KB)
3.申請書の記入、および補足資料を用意します。
※ 補足資料とは、「戦略に関する補足資料」「課題把握に関する証跡資料」などです。
4.「DX推進ポータル」上で申請します。
※システム利用の際にはGビズIDが必要です。
5.認定されても認定証明などの発行はありませんが、ホームページや名刺等でDX認定事業者であることについての発信等を行えるよう、ロゴマークの使用が許可されます。また、DX推進ポータルの「DX認定制度 認定事業者の一覧」に掲載されます。
審査のポイント
上記の申請手順をご覧になって、申請が大変でDX認定取得のハードルが高いのではないかという不安を抱く中小企業の皆さまもおられるかも知れませんが、同制度の趣旨は「企業がデジタルにより自社のビジネスを変革する準備が整っている状態」であるかどうかを認定することです。申請事業者がDX推進に向けた準備ができているかどうかを判断するものであって、DXの達成度合を測るものではありません。よって、ハードルは決して高いものではありません。ただし、事前に取り組むべきことが多々あることは念頭に置く必要があります。審査は、企業がデジタル技術を活用してビジネスを変革する準備ができているかどうかを確認するものであって、そのポイントを要約すると以下の通りとなります。
・経営者がデジタル技術を活用したデータ活用による変革を明確にしているか。
・変革に向けた戦略(経営ビジョン、ビジネスモデル)を立案しているか。
・戦略実行に必要な組織や人材(育成・確保)を明らかにしているか。
・サイバーセキュリテイを含めITシステムの整備に向けた方策を示しているか。
・戦略推進状況の達成度を測る指標で管理する準備ができているか。
・経営者のリーダーシップの状況はどうか。
・対外的にDX推進への取り組みを公表しているか。
まとめ
DX認定の取得は、多くのメリットをもたらします。自社のデジタル化の進捗状況が第三者の目で評価されることで、改善ポイントが明確になり、より効率的な企業運営が実現できるようになります。また、DX認定を取得することで、取引先企業から信頼が得られます。デジタル戦略が高く評価されればブランド価値が向上し、競合他社との差別化にもつながります。さらに、DXへの積極的な取り組み姿勢を社会に訴求できることで、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性が出てきます。認定企業として、業界の内外から注目を集めることで、信頼性向上以外に人材採用市場でのアピール、社員のモチベーション向上にも資することになるでしょう。
現在は、VUCA(ブーカ)の時代と言われます。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味します。このような時代において、不確実性への適応力、すなわちDXという武器を持つことは企業にとって生き残りの必須条件になります。DXの取り組みが公的に認定されれば、そこから多くの好循環が生まれてくるはずです。DX認定を経営戦略の一環としてぜひとも検討していただければと思います。
最後に、IPAのDX認定制度のサイトをご紹介しますので、上記の説明で不明な点および詳細についてご確認ください。
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