メルマガバックナンバー:第9号 リードタイムは短くなったか?(1/2)

「リードタイム」にもいろいろある

「リードタイムを短縮したい」、「最短リードタイムで調達したい」など、日々の業務で課題として挙がるリードタイム(Lead Time、L/T)は、生産管理システムの重点管理項目です。リードタイムにはいくつかの種類がありますが、人によって用法が違いますので、まずはどの意味で使っているのかを注意する必要があります。

各リードタイムの中でも、生産管理システムの活用においては、製造(生産)リードタイムの短縮は何よりも重要な管理項目で、他のリードタイムの短縮に比べムダが多いのが実情です。よって、製造リードタイムの短縮は最も改善しやすく、かつ効果的でもあると言えます。ついては、本メールでは製造リードタイムの短縮効果と方法について、今回と次回の2回に分けて説明させていただきたいと思います。

リードタイム短縮の効果

リードタイム短縮が重要視されるのはなぜでしょうか。それは顧客満足度を向上させることもさることながら、企業にとっても数多くのメリットをもたらすからに他なりません。リードタイム短縮によってもたらされる主なメリットは以下になります。

(1)顧客満足度の向上

リードタイムが短縮されることで、顧客への納期が短くなり、顧客満足度が向上します。これにより、顧客からの信頼が得られ、リピートビジネスや新規顧客の獲得につながります。

(2)競争力の強化

市場の変化に迅速に対応できるため、競合他社よりも早く製品を提供できるようになります。これにより、競争力が強化され、市場シェアの拡大が期待できます。

(3)在庫コストの削減

生産リードタイムが短縮されることで、在庫の回転率が上がり、過剰在庫を避けることができます。在庫の保管コストや在庫の管理業務を削減できるため、全体のコストが低減します。

(4)キャッシュフローの改善

生産サイクルが短くなることで、製品が早く市場に出るため、売上が早く上がります。さらに、過剰な仕入・在庫の抑制は、ムダな資金流出を防ぎ、資金繰りに貢献します。これらにより、キャッシュフローが改善され、資金の流動性が向上します。

(5)柔軟性の向上

リードタイムの短縮により、需要の変動や急な注文にも迅速に対応できるようになります。これにより、生産計画の柔軟性が増し、予測外の状況にも適応しやすくなります。

(6)品質の向上

短いリードタイムは、生産プロセスの効率化を促進し、無駄な工程を削減することが多いため、全体的な品質向上につながります。問題が早期に発見・解決されることもあります。

(7)生産効率の向上

生産リードタイムの短縮には、生産プロセスの改善が伴うことが多いです。これにより、生産効率が向上し、資源の無駄を減らすことができます。

以上のようにリードタイム短縮はいくつかの効果を生み出しますが、真の狙いは、無駄な在庫や業務の削減により、ロスコスト、見えないコストを抜本的に低減していくことです。そしてキャッシュフローを改善し利益を向上させると同時に市場での競争力を高めることにあります。

重要なのは付加価値のないリードタイムを減らすこと

製造リードタイムの中で、本当に付加価値をつけている加工、組立などの時間(正味製造時間)の比率は低く、せいぜい10〜30%と言われています。残りは、運搬、作業・加工待ち、段取り替えなど付加価値のつかない時間であるのが一般的です。よって、機械を目一杯稼働させ、正味製造時間を短縮しただけでは製造リードタイムはほとんど短くなりません。付加価値のない時間を短くしないと製造リードタイムは短縮できません。

すなわち、製造リードタイムと正味製造時間の比率の分析が、生産性向上や納期短縮の鍵となります。製造リードタイムから滞留や待ち時間を減らして、いかに正味製造時間を増やすかが課題です。そのためには、工程前後や工程間のムダの削減まで考慮する必要があり、生産計画の精度を上げるという総合的な生産管理能力が問われます。つまり生産計画の精度が低いために工程間に仕掛りが発生し、製造順序の入れ替え、追い越し等が発生し不必要な停滞が発生している状況を改善しなければなりません。

その具体的方法については、次回にお話しさせていただきます。

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