【2023年最新版】生産管理システムを成功させるための6つの条件

生産管理システムは「魔法の杖」ではない

生産管理では、情報共有や業務の属人化、不良率の高さ、納期遅れ、原価がタイムリーに把握できないなど各社各様の課題があります。課題を解決できる生産管理システムですが、決してすべてを短期間で解決できる「魔法の杖」ではありません。導入すれば事足りるものではなく、いかに運用するかに成否はかかっています。

導入に際しては社長が腹をくくって活用する決意が必要

中小製造業が生産管理システムの導入にあたっては、まず、社長が腹をくくって先頭に立つことが重要です。ただし、社長の独りよがりでは従業員は付いてきません。自社に合うシステムを選び、実務者が腑に落ちたものでなければなりません。実際に使うものが、納得して使いこなさないと効果は発揮できません。得てして、実務者は「システムが悪い」とか「使いにくい」とか、システムに問題があるかのごとく言ってきますが、社長が率先垂範して「使いこなせ」と口をすっぱくして言うことが必要です。

生産管理システムを宝の持ち腐れとしないために

私たちは営業で全国の企業をまわりますが、せっかく導入したシステムも、運用の仕方を間違えたり、高額な費用をかけてカスタマイズしても使い物にならない例を多数目にしています(もちろん自社の生産形態に合わないシステムを導入してしまったという “買い物のミス” ということもあります)。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が必須になっている現在、生産管理システムはDXの “一丁目一番地” であり、これからの社運を左右するシステムと言っても過言ではありません。導入に際して最も重要なことは、ソフト会社のセールストークにのせられないで、自社にとって必要な機能や生産形態と合うかなどを十分に検討してシステムを選定することです。

機能制限は “百害あって一利なし”

さらに、システムを選定する場合、特に注意しなければならないことがあります。それは生産管理システムという名称がついていても、機能制限や端末制限を行えば、それは単なる、受発注システム、在庫管理システム、図面管理システムであり、生産管理システムと呼ぶことはできません。

生産管理の機能は、人間の臓器と同じで、どれかの働きを止めたら、本来の管理ではなくなります。中小製造業にとって何より重要なのは部分最適ではなく、工場全体の最適化です。弊社は、機能売りのシステムは、個別工程の効率を上げることはあっても、生産工程全体の最適化という点では十分な改善効果を上げることはできないと考えています。

また後でオプションで機能を積み上げていくと、驚くような高額な費用になることがあります。これでは皆さんの課題を真に解決するものとはなりません。機能制限は使う側が決めるものであり、値段で左右されるものではありません。

”管理力” がものを言う時代に

国内外の競争環境がますます厳しくなり、人手不足が深刻化する中で、生産性向上への取り組みの必要性は高まるばかりです。そのためには今こそ生産管理システムを導入し、そして既に導入済みの企業はさらに効果が高いシステムがないか見直していただき、現場、間接部門ともに、経験と勘とコツに頼るムダの多い工場運営を改めなければなりません。

加工機の性能が上がり、今以上に誰でも同じようにモノづくりができるようになれば、品質・納期などの「管理力」がものを言う時代になります。そのためには生産管理システムにより、いかにデータを活用し、QCDで差別化を図ることができるかどうかがポイントになってきます。

以下に、「生産管理システムを成功させるための6つの条件」 と「生産管理システム導入における失敗の原因」をあげます。皆さんが生産管理システムを選定される際に参考になれば幸いです。

生産管理システムを成功させるための6つの条件

社運を左右する生産管理システム、最も重要なことは、自社の業種・業態に合ったシステムを選定することです。

システム導入の目的を明確にすること

自社がなぜ生産管理システムを導入したいと考えるのか、まず、その目的を明確にすることが大切です。
例えば、『情報の一元管理をしたい』(特定の社員が担当している業務の詳細や進め方が、当人以外、分からない、属人化の弊害)、『受注から出荷までの効率化を図りたい』、『材料や部品・製品の在庫不足や欠品を防ぎたい』、あるいは『過剰在庫が起きないにようにしたい』などです。生産管理システムを導入することはゴールではなく、あくまでも自社の課題を解決する経営のツールであることを肝に銘じる必要があります。

システム構築は全社的に進めること

生産管理システムは生産フロー全体を管理するもので、営業や設計、調達、製造など、さまざまな部署にまたがるものです。よって、中小企業がシステムを導入する際にはに、全社的なプロジェクトを立ち上げ、社長自らがプロジェクトリーダーとなって(またはそれくらいの決意を持って)、部署横断的に取り組むことが重要となります。単なるシステムにあらず、工場の仕組みそのものであると認識すべきです。

理想ばかりを追求しないこと

生産管理システム導入の失敗の原因として多いのは、『どうせやるなら、あれもやりたい、これもやりたい』などと、考えがちですが、人やルールが準備されていない状況で、やろうとしても失敗するだけです。

最初に何から始めるか、それが出来たら、次に何をするか等の、段階を追って積み重ねて行くことが大切です。

操作・入力方法が簡単であること

生産管理システムでは、非常に多くの情報を必要とし、日々のデータ入力は、膨大な量になります。操作画面が見やすく、ボタン一つで簡単にアクセスできることはもちろんのこと、操作の流れや、ヘルプ機能的 なものがあり、操作・入力が、できる限り簡単で、手間の掛からないシステムが望ましいのです。

導入から立ち上げまでが短期間

関連部署に対しての機能説明や操作教育、実際のデータ入力の作業など、稼働できるまでに多くのことをやらなければなりません。稼働までのスケジュールを立て、どの程度の期間で稼働できるかを見極めることが重要です。

また、計画に対して、遅れが発生している場合、遅れの原因を突き止めて、問題解決することも重要になります。

拡張性のあるシステムを選定すること

日々使用されている中で、新たに機能を追加したいと考えた場合に、カスタマイズが必要なケースでは、その対応がデータベースに変更、あるいは拡張しなければならないこともあり得ます。拡張性のあるシステムかどうかを見極めるのは、 大変難しいことですが、とても重要なことなので、是非覚えておいていただきたいと思います。

生産管理システム導入における失敗の原因

ソフト会社の甘言にのらず、実務者が納得し、「これなら使える」と腑に落ちたシステムを導入することが重要です。

ソフト会社選定における調査不足

ソフト会社選定における調査不足で、失敗するケースが、とても多く発生しています。パッケージソフトであれば、導入実績で、どのような業種に、どの程度導入されているかで、ある判断の基準になりますが、自社向けに、一からシステムを構築する場合は、ソフト会社が、製造業界の知識を持っていないと、拡張性のないシステムとなり、結果、高いばかりで使えないシステムになってしまうことになります。そうならない為にも、ソフト会社の選定は慎重に行いましょう。

製造現場の現状把握が不足

受注・出荷の処理だけに執着した結果、現場では使えないシステムになってしまった。
これは次の「関連部署  の協力が得られない」と関係があり、事務所側と現場側の意思疎通がなされた中で、システムを考えないと、この様なことになりかねません。
システム導入に際しては、関連部署との打ち合わせを綿密に行い、全社的に使えるシステムを考えましょう。

関連部門の協力が得られない

社内における初期の打合せが不充分で、関連部門の協力が得られなかったのでは全体最適は実現できません。プロジェクトチームを編成し、思い切って1〜2年程度かけて全社横断で土壌整備をしていくくらいの覚悟が必要です。

カスタマイズにかかる費用がかさむ

システムの運用に慣れてくると、使い勝手や機能面で、必ず追加したい対応が発生します。対応に際しては、慎重に検討を行い、必要最小限のカスタマイズで、最大限の効果が得られる内容を対象に行うようにしましょう。

まとめ

繰り返しになりますが、生産管理システムは手段であり、目的ではありません。目標である「理想像」を描き、そこに向けた改善ステップを検討し、そのためにいかにシステムを活用していくかがポイントとなります。そして、システムを導入する際には、なぜそのシステムが必要なのか、どのようなビジネス上の価値を生むのかを明確にすることが大切です。

いまだに生産管理システムの導入に二の足を踏む企業が多い中、そうした企業が一歩を踏み出せるよう、また、すでにシステムを導入済みの企業は、改めてリプレースする際の参考となるよう、注意点をご紹介させていただきました。

本稿が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

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