【KAIZEN三四郎ものづくり道場】「自工程完結」は仕組み化できる!〜品質向上とムダをなくすDX最前線〜

ベテランコンサルタントKAIZEN三四郎が教える、若きホープ・ツクル君の品質DXへの道

その「諦め」が会社を蝕んでいませんか?
「どうせ前の工程から不良品が来るから…」そんな諦めが、あなたの会社の品質と生産性を蝕んでいませんか?
本記事では、品質改善の要諦である「後工程はお客様」と「自工程完結」の哲学を、具体的なステップで解説。さらに、経験や根性に頼らず、総合生産管理システム『TED』のようなデジタルツールでこの哲学を仕組み化し、不良品ゼロの現場を実現する方法を、ベテランコンサルタントKAIZEN三四郎と、サクラ製作所のツクル君の対話形式でお届けします。
プロローグ:品質問題に悩むツクル君
ツクル: 三四郎さん、実は最近、現場で困っていることがあるんです。最終検査でポツポツと不良が見つかるんですが、「なぜ?」と聞くと、作業者は「前の工程から、ちょっとズレたものが流れてきたから、無理して合わせた」と言うんです。手直しが多くて、納期も遅れ気味で…。
KAIZEN三四郎: なるほど、サクラ製作所さんの現場でも、その種の「たらい回し」が起きているわけですね。ツクル君、今日のテーマである「後工程はお客様」と「自工程完結」は、まさにその問題を根本から解決するための、品質の二大哲学です。

「後工程はお客様」— 社内の隣人はなぜお客様なのか?
KAIZEN三四郎: まず、「後工程はお客様」から考えてみましょう。ツクル君、君の仕事の成果物を最初に受け取るのは誰ですか?
ツクル: ええと…僕の工程の次の、バリ取りや仕上げ加工をする後工程の作業者ですね。
KAIZEN三四郎: その通り。彼らが、寸法のずれた部品、穴の開いていない箇所があるデータを受け取ったらどうなる?
ツクル: 手直しに時間を取られ、イライラさせてしまう…。そうか、彼らの時間や労力という「コスト」を奪ってしまうんですね。
KAIZEN三四郎: まさにその視点だ。後工程の作業者は、君の成果物を最高の効率で、ストレスなく加工できる「完璧な状態」で受け取る権利がある。後工程に手間をかけさせないことが、会社全体の生産性と信頼を守る、最重要ルールだと腹落ちしてください。
ツクル: 単なるスローガンじゃなくて、「ムダを発生させない」という生産性向上に直結する、徹底した哲学なんですね。
品質を検査に頼らない:「自工程完結」の徹底
KAIZEN三四郎: では、「後工程はお客様」の精神を、具体的な行動で実現するのが「自工程完結」です。
ツクル: 「自工程完結」ですか? 「自工程保証」と似ていますが、「保証」と「完結」の違いを改めて教えてください。
KAIZEN三四郎: 「保証」は「不良品を流さない責任」に重きを置きますが、「完結」は「自分の工程で全ての品質責任を完了させる」という、より積極的で強い意味合いを持ちます。自分の工程が終わった時点で、それは完璧な「良品」として、後工程がすぐに作業に取り掛かれる状態にすることです。

ツクル: 特にステップ2の「異常の即時発見と処理」が「完結」の肝ですね。不良の可能性を残したまま次の工程に流してしまうのは、「自分の仕事を完結させていない」ということだと理解できました。
デジタルで仕組み化する— 現場の完結を未来へ繋げるDX
KAIZEN三四郎: 意識改革が土台であることは間違いない。しかし、多品種少量生産や短納期が常態化した現代、「人の頑張り」だけでは、いずれ限界が来る。そこで、ツクル君が推進すべきはDXの力です。
ツクル: DXですか。具体的には、どう「自工程完結」と結びつくんでしょうか?
KAIZEN三四郎: 例えば、プロフェクト株式会社の総合生産管理システム『TED』のようなシステムだ。現場の「完結」を、人の手ではなく「仕組み」として未来永劫機能させる。
強制的な再発防止
・不良品の自動ブロック機能: 『TED』は、過去に不良が発生した製品について、生産を開始する前に警告を発します。作業者は何も知らないまま作業を開始し、同じ不良を繰り返す事態を、このアラート機能で防ぎます。
・過去対策の強制確認: 「不具合報告」が点灯している製品の作業を始めるには、作業者は必ずシステム上で過去の原因と対策を確認しなければなりません。この確認を完了しない限り、次の工程に進めないため、組織の知識を確実に現場に定着させます。
デジタルな完了証明(トレーサビリティの確保)
・作業完了時に、測定値や検査結果を『TED』に記録。「この部品はツクル君が責任をもって完了させた」というデジタルな証明が残り、後工程は安心して作業を引き継げます。
リアルタイムでの真因追及
・工程全体で品質情報がリアルタイムに共有されるため、問題発生時、真の原因(真因)を即座に特定でき、対策までの時間を大幅に短縮できます。
ツクル: これはすごい! 今までの僕たちの「自工程完結」は、合格した部品の横にサインをするだけでした。これなら、意識だけでなく、データとシステムで「完結」を保証できますね。これで「流すな!」と叫ぶ必要がなくなります。
エピローグ:品質は現場の思いやりから
KAIZEN三四郎: 品質とは、決して最終検査の合格率ではない。「後工程はお客様」という思いやりと、「自工程完結」という責任感。この二つの精神論を現場に根付かせ、さらに『TED』のようなデジタルツールで仕組み化することこそが、サクラ製作所さんの品質と生産性を飛躍的に向上させる鍵となります。
ツクル: ありがとうございます、三四郎さん! 「後工程はお客様」の精神で現場の意識を改革し、すぐに『TED』のようなデジタルツールで「仕組み」として品質を保証するDXへの第一歩を踏み出します!
さあ、貴社も今日から「後工程はお客様」の精神で、現場の品質を「仕組み」として完結させるDXへの第一歩を踏み出しませんか?
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