メルマガ「DXナビゲーション」バックナンバー:第28号 「生産管理あるある」、年間でいくらの損失に?

はじめに:なぜ、「あるある」は繰り返されるのか?
「今日の生産計画、どこまで進んでる?」
「在庫は足りてるはずだったのに、なぜか不足…」
「納期を守るために、また残業か…」
製造業の現場では、こうした“生産管理あるある”が日常的に繰り返されています。紙の指示書、Excelの台帳、担当者の経験と勘…。それらでなんとか凌いできたけれど、気づけばトラブルが増え、調整に追われる毎日になっていませんか?
本稿では、製造業のそんな「あるある課題」をいくつかピックアップし、なぜそれが起きるのか、どうすれば改善できるのかを考えていきたいと思います。
こんな「あるある」、経験ありませんか?
あるある(1)「明日納期の製品、まだ終わってないってどういうこと!?」
・朝の打ち合わせでは「順調です」と聞いていたのに、夕方になって初めて「実は間に合いません」と報告される。
・ 担当者に聞いても「いや、順調に進んでいるはずなんですが…」と、誰も正確な状況を把握できていない。
あるある(2)「あの部品、どこにいった!?」
・次の工程で必要な部品が、なぜか見つからない。
・探すのに1時間もかけてしまうことがある。
・結局、倉庫の隅に置きっぱなしになっていたり、別の工程で使われてしまっていたりする。
あるある(3)「この不良、いつ発生したの!?」
・ 不良品が見つかったけれど、それがいつ、どの工程で発生したのか、誰も分からない。
・原因究明に時間がかかり、その間、製造ラインが止まってしまう。
・最悪の場合、原因が分からず、また同じ不良を繰り返してしまう。
あるある(4)「またかよ〜、計画がすぐに“絵に描いた餅”になる!?」
・せっかく作った生産計画が、現場に下ろすと一瞬で崩れる。
・納期変更、部材遅延、人員不足…現実に即した柔軟な調整ができず、計画表はすぐに形骸化。
・結局、現場リーダーがその場で判断、属人化していく。
あるある(5)「各部門で情報がバラバラ、情報が全然共有できてないよ!?」
・営業は納期を約束しても、製造側には伝わっていない。
・設計変更の情報が製造に届くのが遅く、現場で手戻りが発生。
・結果、顧客対応にドタバタ追われ、社内の関係はギクシャク。
あるある(6)「担当者がいないと何も分からないって、どうなってるの!?」
・Excelや紙台帳で情報を管理しているため、担当者が休むと誰も状況を把握できない。
・ベテランの経験に依存しており、引き継ぎが進まない。
・若手は「システム化してほしい」と思いつつ、現場は忙しすぎて改善が後回し。
・「属人化リスク」の時限爆弾がいつ爆発するやら?
あるある(7)「いつも突貫対応でなんとか間に合わせてるけど!?」
・顧客の急な注文変更に追われ、残業や休日出勤が常態化。
・「なんとか間に合わせる」のが当たり前になり、慢性的な疲弊が蓄積。
・属人化と精神論で乗り切る体制に限界が来る。
どうでしょう?一つでも「うちの工場でもよくあるな…」と思えるものがあったでしょうか?それとも、皆さんの工場では、他に悩まれている「あるある」があるでしょうか?
『見えない不安』が、すべてのムダを生む
これらの問題の根っこにあるのは、すべて『情報の断絶』、つまり『見えない不安』なのです。ではなぜ、情報の断絶が起こるのか?それは、工場の情報が「人」と「場所」と「時間」、バラバラになっているからです。
生産計画は、事務所のパソコンに入ったまま。現場の進捗は、担当者の頭の中。在庫は、倉庫の責任者しか分からない。不良の情報は、品質管理担当者の手書きのメモ。まるで、部門ごとに高い壁が築かれているかのようです。このような情報の断絶が、現場に『見えない不安』を生み出します。
・「この注文、本当にこの納期で間に合うのかな?」という不安から、ムダな残業や過剰生産が生まれます。
・「この部品はどこにあるんだ?」という不安から、ムダな探索やムダな時間が生まれます。
・「この作業、本当にこのやり方でいいのかな?」という不安から、ムダな再作業やムダな失敗が繰り返されてしまうのです。
この『見えない不安』こそが、すべてのムダを生み出し、工場全体の活気を奪ってしまうのです。そして、残念ながら、手書きのメモや表計算ソフトでは、この不安を根本から解消することはできません。かえって、情報入力という新たな手間を生み、現場に負担をかけてしまうことになります。
これらの非効率は、生産性の低下だけでなく、目に見えないコストとして、貴社の経営を圧迫しています。
では、この『見えない不安』を解消し、バラバラの情報を一つにまとめるにはどうすればいいのでしょうか?
解決策は「情報の可視化」と「一元化」
この課題を根本的に解決するのが、生産管理システムです。私たちは、生産管理システムを導入することで、次のような具体的な効果を実現できると考えています。
・リアルタイムな「見える化」でムダな時間をゼロに
システムを導入すれば、生産計画、進捗状況、在庫数、出荷状況など、すべての情報がリアルタイムで更新されます。誰もがいつでも最新の情報を確認できるため、電話や現場での問い合わせ・打ち合わせが激減します。問い合わせ対応や打ち合わせに費やしていた時間を、本来の生産性向上に直結する業務に充てられるようになります。
・属人化からの脱却と業務の標準化
ブラックボックス化していたExcelファイルは不要になり、誰でも使いやすいシステム上で情報を管理できます。新入社員でもすぐに業務内容を把握できるため、教育コストを削減し、引き継ぎもスムーズになります。
・データに基づいた迅速な意思決定
生産計画の変更や、急な受注にも柔軟に対応できます。システム上で資材の過不足や納期への影響を即座に把握し、最善の策をスピーディーに判断できます。また、紙の資料を集計する手間がなくなり、会議の質も向上します。
生産管理システムを迎え入れれば、皆さんが抱える『あるある』のほとんどは、過去のものになるでしょう。それは、単に生産性が上がることだけを意味しません。現場から『見えない不安』が消え、働く誰もが、自分の仕事に自信と誇りを持てるようになります。
まとめ:生産管理システムがもたらす効果
生産管理システムが最も素晴らしいのは、『目的を共有できる』ことです。
これまで、個々の作業員は「自分の仕事」に集中していました。でも、システムを通じて、自分の作業が全体の生産計画のどこに位置づけられているのかが明確になります。「この工程が遅れると、最終製品の納期に間に合わない」といったことが、全員に「見える」ようになります。
そうすれば、個々の責任感が増し、お互いに助け合う文化が育まれます。工場全体が、バラバラに動くのではなく、一つのチームとして、同じ目標に向かって進んでいけるようになります。
また、これまで、生産計画の進捗は、誰かの「勘」や「報告」に頼るしかありませんでした。しかし、システムを導入すれば、現場の作業員が自分の端末で作業を完了した瞬間に、その情報がリアルタイムで共有されます。
もう「明日納期の製品、間に合うのか?」と、不安な気持ちで一日を過ごす必要はありません。事務所にいても、出張先でも、工場全体の進捗状況が、いつでも、誰でも「見える化」されるのです。この安心感は、想像以上に大きな価値を生み出します。
「今のやり方でも何とかなっている」という現状維持の考え方が、実は最もリスクが高いと言えるかもしれません。生産管理システムの導入は、単なる業務効率化に留まらず、未来の経営を支える強固な基盤を築く投資です。
私たちは、自らが中小製造業を営む経験を最大限に活かして、皆さんの生産管理における様々な課題解決をサポートしております。もし、貴社の生産管理業務に少しでも課題を感じているようでしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。貴社の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。
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